先天性心疾患の出生前診断について

About Prenatal Diagnosis of Congenital Heart Defects

まずはじめに

生まれつきの心臓病(先天性心疾患)の生まれる前の診断(出生前診断)は進んでいて現在多くの病気がお母さんのおなかの中にいる間に診断可能となってきました。先天性心疾患をもつ赤ちゃんの中には生まれる前に診断がついていたために命が救われたという例もあります。

出生前診断とは

出生前診断の方法には、絨毛細胞・羊水の中の胎児の細胞を用いた染色体検査や遺伝子検査と、おかあさんのおなかの上から超音波をあてて胎児の画像をみて診断する方法とがあります。胎児心臓の出生前診断は主として後者の超音波を使った画像診断をさしています。お母さんのおなかの上からみる方法では妊娠16周を過ぎれば胎児の心臓に4つの部屋があることがみえます。
心臓の生まれつきの病気を診断するのには妊娠18週から20週ころに見てもらうのがよいでしょう。

出生前診断で何が分かるのでしょう?

胎児の心臓病に関してのことに限ってお話いたします。超音波診断装置(エコー装置)の解像度が向上したのと、経験をつみ重ねたことによって先天性心臓病のかなりの部分が生まれる前に分かるようになってきました。胎児心エコー検査では妊娠16周を過ぎれば、胎児の心臓に4つの部屋があることがみえます。心臓の生まれつきの病気を診断するのには、妊娠19 週から20週ころに見てもらうのがよいといわれています。

心臓の出生前診断は、通常こどもの心臓病にくわしい医師がおこないます。知識と経験豊富なドクターがおこなえば、心臓の 形の乱れがあるような重い病気があれば、特別の場合を除いて、おなかの中で診断がつきます。しかしすべてが診断できるとい うわけではありません。エコー装置の能力を超えるような微小な変化や、出生の過程の変化が原因で生じるような心臓病は診断 できません。また生命の危険にかかわるような重い病気はみつかりやすいです。

出生前診断をうけるメリットは?

出生前に心臓病が診断されると、なにかいいことがあるのでしょうか?多くの先天性心疾患は軽症ですが、中には命を落としてしまう心臓病もあります。この様な場合には赤ちゃんにとって苦しい症状が生まれるまで判らず、病気があることの診断が遅くなり、病院に到着したときにはもう瀕死の状態ということになりえます。全身状態が悪くなってしまってからの、緊急手術は救命率も下がります。

もし生まれる前に診断がついていたら、状態が悪くなる前に大きな病院へ運んで、手術を行うことが出来ます。良い全身状態で手術を行うことが出来れば、救命率も上がります。これは心臓病をもって生まれてくる赤ちゃんにとって良いことをしてあげたことになります。ご両親も心臓病に対する心構えをしっかりもって生まれてくるお子さんをむかえられることになります。

もし前のお子さんを心臓疾患で亡くされたご両親にとっては次に妊娠した場合、心臓病がないかどうか心配なことは当然です。そのような場合、胎児心エコー検査を受けて、心臓病がないことがはっきりすればご両親はそれ以上むだな心配をする必要はなくなります。出生前診断は診療の一部分として、世界中の国で認められています。

心臓病の出生前診断をうけるということは?

妊婦検診で「赤ちゃんの心臓の超音波検査を受けてください」といわれたとしたら、あなたならどうしますか?心臓病の出生前診断をうけるということはどういうことか、考えてみたことはありますか?先天性の心臓病の頻度は約1%といわれています。すなわち、100人の妊娠したお母さんがいたとき、99 人までは普通の心臓を持ったこどもが生まれ、残りの1人のお母さんからは心臓に病気を持ったこどもがみつかるわけです。診断がつけば医師はそのことをお母さんに告げようとします。

しかし自分のこどもに心臓病がみつかるという大きな事柄に対して、出生前診断を受けてしまった後で、「自分は生まれるまで知りたくなかった」「出生前診断には反対」とか言っても始まりません。心臓病がない場合にはいいのですが、もし見つかった場合に、「本当は生まれる前に知りたくなかった」と思われる方は、出生前診断を受ける前に、「知りたくありません」とはっきり申し出ることが大切です。出生前診断を受けるようにいわれた場合には、受けてから考えるのではなく、ご主人とも相談の上で、自分は受けたいか受けたくないかを受ける前に決定していただきたいのです。診断を受けるということは知ってしまうことに通じるからです。

出生前診断を受けるということは、「もし自分のおなかの中にいるこどもに心臓病があれば、その病名をお医者さんから告げ られる」という事であると考える必要があります。

胎児心臓診断についての情報

Information regarding Fetal Cardiac Diaganosis

超音波がマウス脳神経細胞に与える影響について

日本超音波医学会理事長 千田彰一
日本産科婦人科ME学会会長 馬場一憲
日本脳神経超音波学会理事長 小川彰
日本胎児心臓病研究会代表幹事 里見元義
2006年8月

2006年に超音波診断装置の超音波をマウス胎仔に長時間照射すると脳神経細胞の発達に影響があるとする論文が米国科学アカデミー紀要の電子ジャーナル版に掲載されたことが報じられました。

本論文では、マウス胎仔の脳皮質形成期に超音波を30~420分照射すると、脳細胞が脳皮質下層部で増殖分化して脳皮質上層部へ移動するときに、皮質下層部に留まる割合が、わずかではあるが統計的に有意に増加したと述べられています。本論文では脳の形成過程における細胞の移動を追跡していく新しい手法が用いられており、超音波検査の安全性を再確認していく上で重要な手法になり得るものと思われます。しかし、今回の実験条件では超音波照射部位を固定し、かつ長時間照射し続けており、通常の超音波検査を大きく超える照射条件であること、また、人と マウスでは脳の大きさや発達速度が著しく異なることから、本論文でも述べられているように、今回の報告は人胎児診断の安全性について直接言及・評価しているものではありません。

胎児の超音波検査は、これまでの研究で確認されてきた高い安全性を背景に、他の診断法に代え難い重要な診断法として私たちに多くの恩恵をもたらしております。超音波検査は、訓練された医師と検査士が、医療上の必要性がある場合に、安全と考えられる音響出力の範囲内で、必要最小限の照射で行っています。それゆえ、現段階では安全基準等の見直しの必要性があるとは考えておりません。

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