学会活動

胎児心臓治療の臨床試験

胎児重症大動脈弁狭窄症に対する超音波ガイド下大動脈弁形成術

重症大動脈弁狭窄症とは

重症大動脈弁狭窄症とは大動脈弁が非常に狭く、左室から血液が拍出しにくく、出生後に何らかの外科的またはカテーテルによる大動脈弁への介入が必要な病気です(図1)。

胎児治療が必要な理由

胎内で、大動脈弁狭窄が高度であると、左室圧が上昇し、左室心筋が肥大し、内腔が小さくなり、僧帽弁も開放が悪く発育せず、最終的に左心低形成症候群(図2)になることや、逆に左室が肥大しきれずに拡大し、高度な僧帽弁逆流や卵円孔の狭窄や閉鎖を合併し、さらに右室の拡大、三尖弁逆流の増加、結果として胎児水腫に至ることがあります。左心低形成症候群は出生後の治療が難しい病気の一つであり、最終的にはフォンタン手術を目指します(図3)。胎児水腫に至る症例は胎内で死亡することがあります。今回は主に左心低形成症候群への進行を防ぐ目的で胎児治療を行います。本治療は1991年にイギリスで初めて報告され、北米やヨーロッパで行われていますが、日本ではまだ行われていません。

胎児治療の手技

主に左心低形成症候群に進行することが経験的に予想され、手技の成功率が高い症例に対し二心室循環を獲得する目的で行います。胎児が手技を行いやすい状態であることを確認し、胎児に麻酔をかけ、母体の腹壁から針を刺し、胎児の胸壁、左室流出路に進めます(図4.1)。その位置に穿刺針を固定し、ガイドワイヤーを大動脈内に進め、それに沿ってバルーンカテーテルを大動脈弁の位置に固定し、バルーンを拡張し、弁を形成します(図4.2)。

臨床試験の適応

胎児心エコーの登録方法について

1) 妊娠22週0日~31週6日
2) 16歳以上45歳未満
3) 妊娠高血圧症候群がない
4) 性器出血がない
5) 破水していない
6) 子宮頚管長が20 mm以上である
7) 妊婦さんと配偶者の研究参加同意が得られている

胎児の選択基準

1) 重症の大動脈弁狭窄症かつ左心室が小さくなっていない
2) その他に重篤な胎児異常(生命予後を左右する疾患)がない

→ さらに詳しく(胎児の選択基準の詳細)
クリックすると適応基準チェック表(Excel)が開きます

→ 大動脈弁輪径および僧帽弁輪径、左室長径・横罫
(クリックするとPDFが開きます)

臨床試験の適応

日本胎児心臓病学会胎児治療委員会を中心とした全国的な協力体制の下で実施されます。胎児治療の実施施設は国立成育医療研究センターです。

本臨床試験の目的は、重症大動脈弁狭窄症の胎児に対する超音波ガイド下胎児大動脈弁形成術の実施可能性および安全性を評価することです。

実施期間2019年2月~2022年2月
目標症例数5例

胎児の選択基準

研究の対象となる可能性のある方をご紹介いただく場合、下記のお問い合わせ先にご相談ください。

以下に、ご紹介の際のフローチャートを示します。国立成育医療研究センターから遠方のご施設の場合、以下の研究協力施設を中心としたお近くの小児循環器科で胎児治療の適応をご確認いただくこともできます。

研究協力施設(2019年4月1日現在)

リンク

ご紹介・お問い合わせ先

Tel: 03-3416-0181(代表)

国立成育医療研究センター 循環器科
診療部長
小野 博 (おの ひろし)

国立成育医療研究センター 胎児診療科
診療部長
和田 誠司 (わだ せいじ)